昨年のクラシックを皐月賞2着、ダービー2着、菊花賞3着と皆勤したヴェロックスの単勝は1.4倍。通常なら小倉のローカル重賞には出て来ないクラスの馬である。さらには重賞勝ちもないことでハンデは57キロにとどまった。小倉の芝1800mはデビュー戦を8馬身差の大楽勝した条件。普通はこれで負けることを考える方が難しいだろう。
だが、現実に負けたのはどういうわけなのか。
相手が物言わぬサラブレッドだけに明確な理由なんてものはわからない。
ヴェロックスは1コーナーから進み悪かった。距離短縮と重い馬場とで忙しくなった感じやった。カデナはハンデ戦に入ると決め手が違う。常に評価を覆す走りをしとるし、ここで突き抜けたのは人馬とも自信になる。カツマも九州やでな。ジナンボーは力つけてきた。走り頃で人気しちゃうのが血の宿命やね。
— アンカツ(安藤勝己) (@andokatsumi) February 23, 2020
元騎手だったアンカツさんもこれといった敗因はつかみかねている様子。
外から見ている側としてもこれ以上に見えてくるのはなさそう。
小倉大賞典のラップ構成
12.2-11.6-12.2-12.2-12.1-12.1-12.0-11.9-12.0
前後半5F
36.0-48.2-60.3
60.1-48.0-35.9
明確な敗因が分からないからこそ怖い
レースラップを見たところでヴェロックスにとって大きく不利になるようなことも見当たらない。
むしろ淀みなく流れて緩むところもなく一貫したラップ構成は、ミホノブルボンのような美しさすら感じる。緩急差がない展開を考えると力のない馬は好走できないレースだったとさえいえそうだ。
それならG1級の馬が凡走したら説明がつかなくなる。
川田ヴェロックスは好位5番手からの競馬で不利なく抜け出せばいいだけだった。確かに道中で口を割って掛かるしぐさを見せていたが、この馬は前向きなところもあって初めてではない。アンカツさんが触れた小倉の馬場にしても、荒れ馬場を苦手とするディープインパクト産駒の3頭が揃って3着以内を独占している。それだけに馬場に敗因を求めるのはナンセンスな気がしないでもない。
これまで格上には勝てなくとも格下にはきっちりと勝ち切っていたのもヴェロックスという馬である。優等生だった同馬が初めて大崩れした有馬記念の8着は、見ている側には相手関係で納得ができるが、有馬で喫した初めての惨敗に馬の心が折れてしまったというのはあるのかもしれないが…。
いずれにしても安定感が特徴だった馬の職務放棄に等しい凡走は、次走でどこを使うことになるかはわからないとはいえ、大きく影をとしたことに変わりはない。
レース後のコメント ※ラジオNIKKEIより
１着 カデナ（鮫島克駿騎手）
「いい脚を使って勝ち切ってくれました。今週は馬場が乾いて内が有利になっていて、この内枠を生かした競馬をしようと思っていました。元々力のある馬で、今日はこの馬の力を出し切れたと思います。私は初重賞勝ちでとても嬉しいです。ガッツポーズは思わず出ました」
カデナの重賞勝利は3歳の弥生賞以来の2年10か月ぶり。克駿は以外にもこれが重賞初勝利だった。良太より全然乗れる騎手なので、今後も注目の一人。
２着 ドゥオーモ（勝浦正樹騎手）
「いい感じで、悪いところを走らないこの外枠も良かったと思います。この馬のいい形の競馬が出来ました。５２キロというハンデでよく頑張ってくれました。このコースが合うのでしょう。４コーナーでは”よし！”と思ったくらいでした」
なんで勝浦が小倉にいるんだという違和感。まくって勝ちに行った姿勢はなかなか。
４着 レイホーロマンス（松若風馬騎手）
「距離はもっとあっていいと思います。１８００ｍは短いようです。体の小さい馬ですが、よく頑張ってくれたと思います」
牝馬ということもあって中距離ベストと思いきや、万葉Sで4着するなど意外とステイヤー寄り？
６着 テリトーリアル（藤岡康太騎手）
「スタートで出て、いい位置でレースを運べました。３、４コーナーで馬場の悪いところで脚を取られてしまいました。その後は伸びていました。力はつけていると思います」
近走しぶとさを見せていた割には、淡々としたペースに耐えられず脱落。
９着 ヴェロックス（川田将雅騎手）
「返し馬での具合も良く、雰囲気も良かったのですが、あまりにも力を出していません。何事もなく、次に向かっていけたらいいと思います」
何事もなくといっても何事もあったよもう！
最近の川田で目につくのはあまりにも他人事のようなコメント。
どこから目線で話しているのかと感じることがある。
克駿の初重賞勝ち以外はこれといって印象に残らなかった
馬が突然走らなくなることは、それほど珍しい訳でもない。
ヴェロックスの次走は、少々手を出しづらいか。
ただ、勝利したカデナだって完全に終わっていた状況から復活した。
早枯れディープにしてはかなり珍しい。
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